育てるってこと。

今月頭で入社して丸1年経った職人がいます。

ウチの子達の多くは業界未経験が多く、

「旋盤ってワークが回ってる機械で~、マシニングって刃物が回ってる機械~」

という町工場教本1ページ目1行のところからの教育訓練が始まります。

なもんで、できることなんて初めの頃はどうしても限られててそれこそ工具交換や脱着、爪の取り外しといった1歩1歩・・・もとい1μ1μの修業をしてもらいます。

旋盤を一人前に習得するには10年掛かる、なんて言われて私は育ててもらいました。

比較的、丁寧に教えて頂いていた、と今となっては思いますが当時教えられる側の身からしたらそれはそれは私自身不満も多くあったと記憶しています。(内緒ね)

で、先日第二工場の子と御話していたのですが、会社としてマネジメントする立場の人は経験の浅い子達にきちんと指導しなければいけないんじゃないかな、という話になって。人の育成方法って難しいな、と改めて思いました。

もちろん会社としてそうであってほしいし、育成できるスキルのある人は育成には特別励んでほしいとも思います。

その反面。

私が昔よく言われていた言葉も思い出します。

とある加工方法で悩んで考えて壁にぶち当たっている私にその職人さんは、

「聞いて簡単に教えてもらえるとおもうなよ」と言い放ちました。

あー、今思い出しても切なくなります笑

仕事なんだから、後輩(私)を育成するのが当たり前、と思っていたからもうびっくりです。

「ナンテ無責任な」と思ったかどうかわすれましたが、当時の私はそのことをよくよく考え自分なりに咀嚼し、、、もとい、しっかりと悩んでおりました。

ま、答えはあるようで多分無いのですしょうけども。

ひとつ言えることは。

教えてもらうことが当たりまえだと思う気持ち、ってちょっと違う気がします。

そら何十年と時間を掛けて手にした技術って安くないですよね。私自身もそうですが1日の間に何時間もグラインダーと格闘し涙しながら旋盤回したことなんて何度あることか。

教えることができる人ならその人が心から「教えたい」と思う人に丁寧に大事に伝えたい、のだろうなと。

あ、

もちろん「会社としてそれはどうやねん」とか把握はしてますよ。

なんてったって、私はむしろそっち派ですから笑 

それでもね、こういうのって会社どうこうな話以前に一人の「人間」ですしね。

教える人にも感情があり、思いがあり。

嫌なこと良いことが生活の中にあって、その毎日の中での仕事ですから。

と、いう訳で、教えられる立場の人は教えられる礼儀をもって挑んでほしいし。

で。

また、教える人は教えられる人以上に、自分が通ってきた教えられる立場の気持ちをしっかり考えて、指導に励んでも欲しいですし。

・・・だから育成って難しいなと。

きっと、そういう心の、礼儀の根っこのところにそれらの答えはあるのかな、と私はなんとなく思います。

ち、な、み、に。

私の教育方法は一貫して

「やってみてやらせてみてやってみて、で一緒に悩む笑」

を単純に繰り返します。

担当している子には爆速で機械を任せますし。

教えるのは必要最低限。

とりあえず加工の楽しさ、に触れてもらうことを一番のテーマにしています。

教えて無いから無駄に悩むことも多いでしょうね。でも、みんな初めて触る機械だし、新しいことを知る勉強だからすごく楽しく悩んでくれてる、気がします笑

まずは機械に慣れてもらって、加工してもらって。

そこから問題があれば一緒に解決していく。

問題がありそうでも絶対に言わない(納期とかで迷惑掛かるときは言いますが)

育てることが最大級のテーマです。

失敗大歓迎。

むしろ失敗されたときは私の失敗自慢で負けずに勝負します笑

そーんな感じで1年育ったT君は今では私に何も話してくれない。。。( ;∀;)

今までは沢山聞いてくれたのに( ;∀;)

みんな私を軽々と抜いていくこの絶望感( ;∀;)

ほんとウチで一番仕事できないのは社員一同の共通認識として「私」ですよ( ;∀;)

ま、それが願いだったし。私がエースで4番なんて気持ち悪い。

私はベンチでたまのライトを守る、ぐらいで野次飛ばすだけでいいです笑

話が飛びましたが、

人を育てる時はあえて考えるチャンスをこちらが奪わず、を徹底しています。

理由は一つ。

考えて悩む機会こそが一番技術が入る瞬間と確信している。

とは言え、「会社としたら」利益追求しなきゃいけないのであんまりラフなこと言ってはいけないのだろうけども。

だがしかし。

そんなんしーらない。

それは全部会社の「都合」の話でしょ。

技術を根幹から育てていく為には「モノづくりに挑む・向き合う気持ち」って一番大事なことじゃないかな、と思ってます。

恐縮したり、ビビったり、焦ったり、緊張したり。

それらの気持ちも時には必要ではありますが、人生の大半を過ごす「仕事」をどれだけ快適に過ごせるか、ってところが大事なんじゃないでしょうか。

ま、あくまでも私個人の意見ですので悪しからず。

薄っぺらい?

あはは、確かに。。。

八尾市の加工屋 株式会社テラダはちょっと暇で現実逃避しています笑


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